精巣がん

精巣(せいそう)は、男性の股間の陰のう内部にある臓器です。左右に1つずつあって、睾丸(こうがん)とも呼ばれています。精巣には、男性ホルモンを分泌する働きとと精子を作る働きがあります。

精巣にある細胞から発生する腫瘍を、精巣腫瘍と呼びます。精巣腫瘍の約95％は精母細胞から発生し、胚細胞腫瘍とも呼ばれています。

セミノーマ(精上皮腫：せいじょうひしゅ)とそれ以外の非セミノーマ(非精上皮腫：ひせいじょうひしゅ)の2つに分類されます。

1.セミノーマ

セミノーマ100％で構成される腫瘍。

2.非セミノーマ

セミノーマだけでなく、その他の腫瘍成分と混合している場合は、非セミノーマとして分類されます。また、細胞分類的にセミノーマであっても、腫瘍マーカーのAFPが高値であれば、非セミノーマとして分類されます。

精巣(睾丸)のどちらか片方が大きく腫れてきます。痛みはありません。
手で触れてみれば、はっきりとわかるので、入浴時にチェックしてみましょう。
ところが、この症状に気づいても、若いだけに、よもや癌だと思わないことが多いのです。
また、精巣の異常だけに、羞恥心が働いて、受診するのが遅れることもあります。

・外科手術

基本的に高位精巣摘除術が行われ、精巣だけでなく精索の上方までを切除します。またリンパ節への転移を防ぐために、リンパ節とその周りの組織を取り去る後腹膜リンパ節郭清術が行われることもあります。
非セミノーマの場合は化学療法を行った後の画像診断で転移巣が確認された場合は、できる限り取り除くために転移巣切除術が行われます。

・化学療法

I期でも、再発の可能性が高い場合や、転移のあるII期以上の多くは、抗がん剤治療が行われます。精巣腫瘍は化学療法の効果が非常に高いとされ、転移のある場合でも、化学療法を中心とした治療により根治が期待できる数少ない悪性腫瘍の1つです。ただし、転移のある非セミノーマの場合、術後の化学療法のみでは治らない場合も多く、化学療法後の残存腫瘍に対する再手術が必要となることもあります。

化学療法では、多くの場合複数の作用の異なる抗がん剤を組み合わせて治療を行います。

・放射線治療

セミノーマでは放射線治療が特に有効とされ、I期において再発予防とII期のセミノーマの比較的小さなリンパ節転移に対して放射線治療が行われることがあります。非セミノーマでは効果が期待できないため基本的に行われません。