漢方の不妊治療は,「妊娠しやすい体」をつくること
不妊・不育症の原因を西洋医学的観点に加え、妊娠しにくい体質や症状を東洋医学の理論を用いて判断し、漢方薬やサプリメント、日常の養生法(生活リズムの改善、食養生)などを活用し、妊娠力を高めていきます。
日ごろから感じている体調不良をはじめ、生活習慣病や女性特有の月経痛、月経不順、子宮内膜症などのケアにも役立ち、ご夫婦の健康づくりにも有効です。
ご夫婦共に身体を丈夫にし、妊娠力を高めることが子供を授かるための第一歩です。 元気な赤ちゃんの誕生を心から祈っています。
不妊の原因と漢方
◆ 不妊の原因は、男女双方にあり!
不妊症の原因の割合は、男性:女性=50%:50%くらいです。特に最近は、環境ホルモン(化学物質)や紫外線、ストレス、喫煙、食生活をはじめ生活・自然環境の急速な変化などにより不妊に悩む方が多いです。人によって不妊の原因は様々で、複数の原因が当てはまることもあります。
約10%の方が機能性不妊(原因不明)と言われていますが、まず原因を探ることが重要になります。
不妊症の原因は体質で考える!
◆「体質」を見極めること
まず最初に身体全体の状態を考えて不妊の原因を探っていきます。
たとえば血(けつ)が身体に対して少ない『血虚(けっきょ)』、流れが悪い『瘀血(おけつ)』、消化器系の働きが悪く栄養がうまく取り込めない『気虚(ききょ)』といったように体質的にバランスの崩れている部分を探し、女性では妊娠しやすい様に、男性では勃起機能や精子の状態が良くなるように、身体全体のバランスを整えていきます。
このように一人一人の「体質」を考えることで、原因不明の不妊にも、妊娠しやすい体をつくる妊活にも対応していきます。
病院の治療と並行して行う事が多く、検査など西洋医学の所見も体質の判断材料にしています。
漢方での女性の体質改善にも女性ホルモン(卵巣ホルモンや黄体ホルモン)のバランスや卵巣の機能、排卵時期などを確認するために基礎体温表を活用しています。必要な漢方薬を選ぶときにも参考になりますので、必ずつけるようにしましょう。『周期療法(しゅうきりょうほう)』といい、月経周期にあわせて漢方薬を服用する方法もあります。
◆ 気と血のバランスをとる
東洋医学では、体の基礎物質である気(き)と血が五臓六腑を栄養し生命活動が維持されていると考えています。不妊症だけでなくどんな体調不良の症状や疾患でも、まず気と血の状態と五臓六腑のどこで問題を起こしているのか、症状の性質が冷えと熱のどちらにあるのかなどといった情報を分析し、服用する漢方薬を決めていきます。
気血のトラブルは二つしかあり、一つは不足した状態で、気が不足すれば気虚、血が不足すれば血虚となります。もう一つは滞った状態で、気が滞れば『気滞(きたい)』、血が滞れば『瘀血』となります。
気血の状態が悪いと慢性疲労、頭痛、胃腸虚弱、めまい、貧血などが様々な症状がおこります。男性では精子の運動率が悪くなったり、勃起機能不全等がおこり、女性では卵巣機能の低下、月経不順や月経痛、PMS等がおこり、不妊の原因となります。
◆ 漢方では腎を強くする
漢方で不妊のケアをするときは、『腎(じん)』を補うものを用います。
漢方でいう腎の機能は、現代医学でいう腎臓の機能に加え、広く生殖器系、ホルモン系、中枢神経系、免疫系、造血系などの機能も併せ持った、生命の源と考えられています。
また「精」とは、生命を維持するエネルギーの事です。精には親から受け継いだ「先天の精」と、飲食物から得た「後天の精」があり、どちらも腎に貯えられて、成長発育と生殖の源となります。骨、歯、毛髪および全身の成長・発育といった新陳代謝の促進、女性の排卵や月経、男性の精子を作る能力といった生殖の機能。これらは全て、腎が貯蔵している精の働きによるものとされています。この機能が衰えると、老化が早く進み、生殖機能の低下、骨の粗鬆化(もろくなる)、また、糖尿病、アレルギー性疾患、高コレステロールなど、ホルモンや代謝の失調が原因となって起こる病気になりやすくなります。
上記のことから、漢方では腎を強くする事が必要とされています。
不妊治療に使われる漢方薬
◆ 不妊症で実際に服用される漢方!
先ほど出てきた証に対する漢方薬の一例をあげてみます
気虚・・・補中益気湯、健胃顆粒など
血虚・・・婦宝当帰膠B、参茸補血丸など
気滞・・・逍遙顆粒、加味逍遥散など
瘀血・・・冠元顆粒、桂枝茯苓丸など
腎虚・・・参馬補腎丸、瓊玉膏など
他にも様々な種類の漢方薬があります。
◆ 不妊治療で日常生活で気をつけること
女性が妊娠するためには、子宮の温度がしっかり保たれていることが重要です。
子宮の温度が保たれることによって卵巣・子宮の血液の流れが良くなり、質の良い卵子ができ、子宮内膜が柔らかくなります。日常生活では、極力、冷たい食べ物を少なくし、服装も短いスカートやお腹を出すのはやめて足腰を冷やさないように注意しましょう。
男性では、特にアルコールを控えましょう。アルコールの飲み過ぎは精力を消耗させるとともに、それによってできる湿と熱が精子の放出を悪くすることがあります。なるべく控え、のむ場合も少量にしましょう。