東西薬局 > SARS(重症急性呼吸器症候群)の話
SARS予防対策?
◎SARSとは?
世界中で猛威を振ったSARS(サーズ)。正式には、重症急性呼吸器症候群をいい、その患者数は爆発的に増加しました。
●症 状
潜伏期は約4日(1日~11日) 急性発病型。
まず発熱が生じる。断続的または不規則な発熱、悪寒の症状。頭痛、関節痛、全身痛、だるさなどの症状を伴う。空咳、少量の痰、まれに血痰などの呼吸道の症状が現れる。呼吸が速くなる患者も見られる。約4分の1の患者は、Ⅰ型呼吸不全、ARDS(成人呼吸困難症)に陥る。ほとんどの患者は、特に症状はないが、肺に少量の乾湿ラ音が認められる患者もいる。白血球数は高くない。少数の患者に白血球数や血小板数の減少が見られる。胸部レントゲンでは肺部に片状の影が見られ、大きな片状影が見られる患者もあり。多くは、両肺に病変あり、陰影の吸収散漫は遅い。多くの患者の身体症状と肺部の陰影は一致せず(症状は軽くても、陰影は明らか)
◎「WHOも評価した実力・昔から伝染病の予防に」
SARSの病原体は、コロナウイルスの変種で、風邪などと同様に咽喉や鼻などの粘膜から感染すると考えられています。発症すると、高熱、全身の倦怠感などの症状が現れ、タンを伴わない空咳が出ます。そして、ひどい場合には、呼吸困難になって命を落としてしまうのが怖いところです。
予防ワクチンや特効薬もない現在、予防対策として出来ることはないのでしょうか?中国漢方では、伝染病の予防方法として、避邪(ひじゃ)を扶正(ふせい)という考えがあります。避邪とは、感染源を避けるということ、扶正とは、体の免疫力を強化するということです。この両面から病気に対抗していくことが、大切だと考えられてきます。
それには漢方薬を上手に使うことが有効で、中国の衛生部(日本の厚生労働省にあたる役所)が、SARSの予防に効果があると発表している漢方薬があり、WHO(世界保健機構)も漢方薬を取り入れた対策を評価したというのです。
中国で政府が勧めるSARS対策として推奨された漢方薬。北京や香港などの都市において、品切れ状態にまでなりました。抗ウイルス作用と免疫力アップの効果を持つ漢方薬とは一体どういうものなのでしょうか?
◎SARS対策に漢方
まずは板藍根(ばんらんこん)。避邪の方法の一つで、板藍根はウイルスを抑制すると言われています。板藍根は、これまでにもインフルエンザなどのウイルスに対しても使用されてきました。インフルエンザが流行すると、中国の学校では、板藍根の煎じ液を生徒の咽喉にスプレーし、病気が広がるのを防ぎます。実は日本でも、数年前にインフルエンザが流行した時、病院でもらった薬では治らなかったインフルエンザが、板藍根を飲むと高熱が下がり、咽喉の痛みがなくなったとの報告が相次ぎ、話題になったことがありました。板藍根にどうやら期待が持てそうです。
伝染病の予防方法でもう一つの扶正、つまり免疫力を高めるための対策からお勧めの漢方薬は、体の防衛力を高める玉屏風散(ぎょくへいふうさん)があります。黄耆(おうぎ)、防風(ぼうふう)、白朮(びゃくじゅつ)を組み合わせたもので、中国でよく使われています。玉屏風散は、皮膚や鼻から肺、口から腸までの粘膜にバリアをはり、ウイルスなどの外敵に対し身体を強くする効果があります。「免疫力」の著者である中国中医研究院教授路京華先生は、その中で、玉屏風散を「漢方の粘膜ワクチン」と表現しているくらいです。
したがって、板藍根と玉屏風散を一緒に飲めば、さらに理想的。
感染症対策には、手洗い、うがい、バランスのとれた食事、十分な睡眠が大切。これら生活習慣に、漢方の予防対策を加えてみてはいかがでしょうか?
◎板藍根や玉屏風散は日本にあるの?
日本では、板藍根は医薬品でなく健康食品として、お茶やのど飴などの形で販売されています。また玉屏風散は医薬品として、飲みやすい顆粒や細粒が手に入ります。
記事監修
猪越 洋平(Yohei Ikoshi)
- ・鍼灸師
- ・按摩マッサージ指圧師
- ・国際中医専門員
- ・中医手技療法士
- ・医薬品登録販売者
- ・元NHK学園 漢方・経絡講座講師
玉屏風散
◆ 飲みやすい顆粒タイプ
- 衛益顆粒(えいえきかりゅう)
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効能・効果
身体虚弱で疲労し易いものの次の症状:虚弱体質、疲労倦怠感、ねあせ
板藍根食品
◆ 飲みやすい顆粒タイプ
- 板藍茶(ばんらんちゃ)
-
「板藍茶」は、板藍根を手軽に摂れるようにした顆粒タイプのお茶です。
◆ 手軽なのど飴
- 板藍のど飴(ばんらんのどあめ)
-
「板藍のど飴」は板藍根のエキス末を配合したのど飴です。
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