掌蹠膿疱症と漢方

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東西薬局 > 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

白ロゴ掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)ってどんな病気?

◎掌蹠膿疱症の症状

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は、膿がたまっている膿疱(のうほう)と
呼ばれる皮疹が、手のひらや足の裏に生ずる疾患で、周期的に良くなったり、
悪くなったりを繰り返します。患部の状態は、多くの場合は赤くただれ、無色から黄色の水疱が次第に膿疱に変化し、膿疱がつぶれると角層が剥がれ落ち熱感を帯びます。また胸骨、鎖骨、肋骨や脊椎に関節炎を発生することもあります。

◎掌蹠膿疱症の原因

水虫の湿潤タイプに症状が似ていますが膿疱の膿から真菌は検出されません。したがって、水虫と違い、他の人にはうつりません。
掌蹠膿疱症の原因は、自己免疫疾患(自分の体を守るはずの白血球が自分を攻撃する免疫の異常)であるいわれ、その引き金としては、以下の3つがあげられています。
①扁桃炎、副鼻腔炎、中耳炎、歯槽膿漏、虫歯等の疾患に多くみられるため、その原因となる菌(溶連菌など)による生体反応。
②歯を金属(例えばニッケル合金)等で治療している場合、金属アレルギーなど。
③タバコの吸い過ぎ等による咽頭炎、喉頭炎によるもの。

しかし、扁桃切除や歯の金属を除去しても改善が見られない場合が多いです。

白ロゴ掌蹠膿疱症を漢方で考える

◎『肺』と『腎』の機能低下

前述のように、掌蹠膿疱症は、自己免疫疾患と呼ばれる慢性疾患の一つですが、中医学(中国漢方)による根本療法がしばしばよい効果をあげています。
一般に病気が慢性化する場合には、自分の体を治す自己治癒力の低下、免疫力の低下、あるいは免疫の作用が自己を攻撃する免疫錯乱などが起こっていると考えられます。

中医学では慢性化して治りにくい疾患は、五臓のうちの“腎(じん)”の衰弱に原因があるとしています。数千年に及ぶ治療経験から「病気にかかりやすく、治りにくいときは五臓の腎が衰えた“腎虚”の状態である」という知恵が伝わっています。もっとも、この“腎”には、広い範囲の生理機能が含まれており、その範囲は今日の泌尿生殖器系、脳下垂体-副腎を中心とするホルモン系、免疫系など、生命の基底を支える生理機能に相当し、さらに骨・骨髄を養うとしています。
また皮膚は、呼吸をしているため、五臓の“肺”の一部ととらえられています。
鼻・のど・気管・気管支・肺胞、そして皮膚・毛孔が、中医学で“肺”を構成する器官です。免疫錯乱の一つであるアレルギー性の疾患は、よくこの“肺”グループに症状が出てきます。

◎漢方治療は?

掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏のように角質化した皮膚や、軟骨、骨などを犯す傾向があり、慢性的で治りにくい病状を示すことと、中医学の観点を総合して考えてみると、“腎と肺”を強化することで根本治療が可能です。
また対症療法として患部の炎症を鎮め、痒み・膿汁を取り除き、肌のかさつきを潤す漢方薬を用います。ステロイド療法が成功しないのは、患部の炎症や痒みを抑えるだけの対症療法で、根本を治していないからです
ビタミンH(ビオチン)の不足も、原因の一つとしてあげらます。ビオチンは内臓では肝臓・腎臓、食品ではトマト・ニンジン・卵黄に多く含まれ、また、腸管内で合成されています。ビオチンの欠乏症では、皮膚炎・舌乳頭の萎縮などが起こります。

ビオチン不足のために掌蹠膿疱症を発症している場合には、ビオチンの服用(ビオチン補充療法)で改善がみられます。ただしビオチン不足でない場合には、改善が見られないことが多いため、漢方による体質改善をお勧めします。またビオチンの服用を中止して症状が戻ってしまう場合には、ビオチンと漢方の併用が有効なこともあります。

中医学では、皮膚を含む“肺”と、消化器系に相当する“脾”の相互関係は重要です。胃腸の弱い方の場合には、消化器系の強化も必要です。「脾(消化器系)は、肺の母である」といい、慢性の皮膚病や呼吸器疾患の治療に顕著に現れています。その例は乳児期のアトピー性皮膚炎や虚弱でカゼをひきやすい子供の体質改善です。消化器系の働きがよくなれば、ビオチンの体内での生産も正常になります。

また日常生活での養生は非常に重要です。食事は脂肪分の少ない和食を中心とするようにします。甘い物やアルコールは症状を悪化させるため、できるだけ控える。タバコは止める。睡眠は、夜更かしをせず、できる限り23時までには就寝、時間を7~8時間を目安とします。ストレスを発散し、いらつかないことも大切です。

白ロゴ皮膚にでる自己免疫疾患の方の体質改善

基本的な体質は、肺と腎の陰分(体液)不足であるので、肺と腎を強化し、陰分を増す必要があります。このような治療法を中医学の言葉で”滋補肺腎”といいます。これは潤いを補うという意味です。
手足がほてり、水分をよく摂り、のどをはらしやすい体質、つまり肺腎陰虚の体質を改善するための方法です。

つぎに炎症による痒みや膿に対する療法ですが、炎症を起こして膿が出ている状態を肝胆湿熱と言います。肝胆に作用し、炎症の熱をさまし、胆汁の分泌を促して秒毒素を排泄する方法を用います。このような方法を、清瀉肝胆湿熱、利肝解毒などといいます。
汎用される薬草は、石膏、黄連、 黄芩、 黄柏、山梔子。知母、苦参、竜胆、玄参、生地黄、板藍根、大青葉、金銀花、 連翹、茵蔯蒿、大黄、金銭草、柴胡、海金砂などたくさんあります。
つぎに血行不良を改善し、瘀血を除去する方法は、活血化瘀法(あるいは駆瘀血)といいます。
汎用される生薬(天然の薬物)には、丹参、赤芍、 川芎 、牛膝、紅花、桃仁、蘇木、三稜、鶏血藤、当帰などがあり、丹参、当帰には増血作用もあります。
以上の三つの治療法を組み合わせ、処置を急ぐ症状に対する治療を先に行い、もしくは並行して根本的な体質改善を進めます。
こうした体質改善は、普通三年くらいをメドとします。

白ロゴ記事監修

猪越英明

猪越 英明(Hideaki Ikoshi)

  • ・元 東京薬科大学薬学部
      中国医学研究室 准教授
  • ・医学博士
  • ・薬剤師
猪越洋平

猪越 洋平(Yohei Ikoshi)

  • ・鍼灸師
  • ・按摩マッサージ指圧師
  • ・国際中医専門員
  • ・中医手技療法士
  • ・医薬品登録販売者
  • ・元NHK学園 漢方・経絡講座講師
体験談,症例

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漢方体験談

 

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