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潰瘍性大腸炎ってどんな病気?
潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん、Ulcerative colitis、UC)は、大腸の粘膜に潰瘍やびらんができる炎症性疾患です。非特異性(原因が明確でない)の疾患で、特定疾患に分類されています。罹患者数は、年々増加傾向にあります。
◎潰瘍性大腸炎の症状
潰瘍やびらんは、基本的にまず直腸から発症し、S状結腸→下行結腸→横行結腸→上行結腸と徐々に盲腸の方まで広がっていきます。
症状は持続する出血(下血)を伴う赤黒い粘血便・下痢が主な症状です。腹痛を伴うこともあり、酷くなると貧血や体重減少、発熱なども起こります。
◎潰瘍性大腸炎と自己免疫疾患
潰瘍性大腸炎の原因は、いまだ特定されていません。
潰瘍性大腸炎では、自分の身体を守る働きをする免疫細胞が、自分を攻撃してしまう免疫の異常が起きていると言われています。(自己免疫疾患)
もっとも重要な免疫器官と言われ、身体の中で一番、免疫細胞の集まっているところが『腸』です。飲食物とともに悪玉菌など人体に害をなすがものも入ってきます。栄養と一緒に害になるものまで体内に受け入れては大変ですので、吸収する前に、身体に対する善悪を判断して、不要なものを排除しています。この機能を果たすのが腸における免疫の働きです。
何らかの原因で腸内免疫の一部が、誤って大腸の粘膜を攻撃するようになってしまったのが潰瘍性大腸炎です。
潰瘍性大腸炎を漢方で考える
◎『肺(はい)』と『腎(じん)』の機能低下
前述のように、潰瘍性大腸炎は、自己免疫疾患と呼ばれる慢性疾患の一つですが、中医学では『肺』と『腎』の機能低下ととらえます。
漢方では免疫にかかわる働きをしている場所が腎と呼ばれる場所です。また大腸の機能を管理してる場所が肺です。
◎免疫にもっとも重要な腎
中医学で言う腎は、生命維持活動にもっとも重要な臓腑とされています。水分調節だけでなく、生殖活動や成長、骨・骨髄、ホルモン系、防衛機能の免疫系など、生命の基底を支える生理機能全般をしています。潰瘍性大腸炎で重要なポイントとしては、免疫に関わるところです。腎の機能が低下した状態の『腎虚(じんきょ)』と呼ばれる状態では、免疫の不調をきたします。風邪をひきやすいなどの免疫低下や掌蹠膿疱症などの免疫異常などです。漢方で考える免疫疾患での一番のポイントとなる臓腑です。
◎大腸と肺は、葉と根の関係
肺と大腸は、植物で例えると根と葉の関係があります。植物は根の方に栄養や水分を与えると葉が生き生きとしてきます。漢方の五臓六腑の関係では、肺が根、大腸が葉の関係にあり、肺の状態を整えると大腸の働きが整います。便秘がちな方が肌荒れを起こしやすいのは、このためです。肺の主な機能は、呼吸器系の働きをしています。皮膚も呼吸をしているので、肺の機能に含まれます。簡単に言えば身体に必要なものを取り入れ、不要なものを出しています。同様に大腸の働きも必要なものは吸収して、不要なものは大便として出す働きです。このことからも肺と大腸が密接に関係していることがわかります。
◎漢方薬は?
潰瘍性大腸炎の漢方治療は、症状を繰り返さないように肺と腎の強化し、自己免疫の誤りを正常に整える体質改善を行います。出血や下痢、炎症などの症状に対しては症状を抑える漢方薬を用います。
記事監修
猪越 恭也 先生(故人)
- ・薬剤師
- ・東京薬科大学附属
社会医療研究所 教授 - ・長春中医薬大学
客員教授 - ・日本中医学会理事
『中医臨床 2013.12 Vol.34-No.4』に
東西薬局の猪越恭也先生の臨床レポートが掲載!!
猪越 恭也 先生(故人)
東京薬科大学附属
社会医療研究所 教授
長春中医薬大学 客員教授
日本中医学会 理事
日本中医薬研究会 顧問
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