東西薬局 > 生理痛と漢方薬
生理痛はないことが正常
漢方から見ると、生理痛はないのが正常な状態で、「血(けつ)」のめぐりの悪さが大きく関わっています。漢方でいう血は、血液だけでなくホルモンなどの働きも含み、妊娠とも深い関係がある存在です。本来ならスムーズに体の中を巡り、全身に栄養と潤いを与えているのですが、流れが滞ると、痛みの症状があらわれやすくなります。生理痛もそのひとつ。血のめぐりが滞っている状態を『瘀血(おけつ)』といい、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人病の原因にもなるといわれています。
月経困難症
月経困難症とは、簡潔にいえばかなりひどい月経痛です。
月経期間中、痙攣のような腹痛や、腰が砕けそうな痛み、足の痺れ、身体の麻痺、下痢・悪心など日常生活に 支障がでるくらいの不調がおこる状態のことを指します。
生理前〜生理の初めに痛む人
月経周期で、生理の直前は心身ともに不安定になりやすい時期です。
特にストレスの影響を受けやすい人は、イライラ、不安感などの症状とともに、生理前から下腹部が重く痛みはじめ、はじまると症状が治まっていくという傾向があります。これらの症状は、血の道証に該当します。このタイプの方は、月経の一週間くらい前から、ツボや食事、生活術でストレス対策を行うのが有効です。
- 【漢方薬】
- 血の道証に対する漢方がおすすめ
逍遙顆粒 / 加味逍遙散 / 芎帰調血飲第一加減
- 【ツボ】
- 「三陰交」で心身のバランスを整える
足の内くるぶしから指4本分上にある三陰交は、ストレスと関連した婦人科トラブルによく用いられるツボです。ここを一日に1〜2回マッサージしておくと、生理痛の改善にもつながります。
- 【お茶&食材】
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紅茶に香の良いフェンネルを加えて
香のよいものには、気持ちを安定させる作用があります。フェンネル(茴香)には、胃を温めて消化を助ける作用もあるため、生理痛に加えて、食欲不振や胃の痛みがあるときにもおすすめです。
粉末のフェンネルは、紅茶に加えてフェンネルティーとして楽しむほか、卵焼き、炒めものの風味づけにも使えます。このほか、ローズヒップティ(玫瑰花茶)、香味野菜(しそ、三つ葉、香菜、パセリ、春菊、セロリ)などもおすすめです。
- 【生活アドバイス】
- 生理前はできるだけゆったり過ごす
このタイプの人は、普段からできるだけリラックスタイムを増やすことが大切ですが、一ヶ月の中でも特に重要なのは、生理前の一週間です。マッサージやエステに行くのなら、是非この時期に。
なお、イライラを伴う生理痛改善には、下半身のマッサージが有効なので、リフレクソロジーは特におすすめです。
生理の終わりごろに痛む人
ダイエットや偏食が関係することも
痛み自体は、それほどひどいわけではないのに、生理が終わりに近づくと、寝込みたくなるほど体がだるくなったり、疲れると生理痛が悪化するのはこのタイプです。
これは、体のエネルギーや血液がもともと不足気味の人に多い症状です。食事が不規則で偏食がち、無理なダイエットを続けているなど、食生活の問題がかかわっていることもあります。
- 【漢方薬】
- 貧血や疲労に対する漢方がおすすめ
婦宝当帰膠 / 参茸補血丸 / 瓊玉膏
- 【ツボ】
- 元気を生み出す「足三里」
ひざのお皿の外側にある突起から指3本分下にあるツボ。消化、吸収力を助け、元気を生み出す作用があります。生理中ではなくても、疲れを感じたらこのツボを。
- 【お茶&食材】
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「なつめ+しょうが」のお茶を
「女性の味方」であるなつめは、消化・吸収力を高めながら、血行をよくするしょうがと相性抜群。ちぎったなつめと、スライスしたしょうがにお湯をさし、10分ほど蒸らします。甘みをつけるなら、疲労回復作用と痛みを軽減する作用がある黒糖がおすすめです。
- 【生活アドバイス】
- 生理中の仕事はほどほどに
このタイプの生理痛は、横になると楽になるので、休むのが一番。できるだけ過密スケジュールにならないように注意し、睡眠時間もいつもより確保しましょう。また、通勤時間を少しずらして、電車で座れるようにするなど、ちょっとした工夫が功を奏することも。なお、夕方疲れてしまい、食事をとらずに寝てしまう人も多いようですが、夕食を抜くとますます疲れが取れにくくなるので、せめてレトルトのおかゆやうどんなど、消化のよい穀類を少しだけでもとるようにしましょう。
冷えると痛みが強くなる人
冷えは、生理痛の直接の原因に
生理中の冷えは、血の巡りを悪くし、生理痛を悪化させてしまいます。冷え症ではない人でも、生理中は体を温める工夫が必要です。冷えると生理痛が悪化するような場合は、早急な対策をとった方がよいでしょう。特に冬や、夏でも冷房の中で1日過ごす人は、腰回りを冷やさないような服装を心がけ、冷たい飲食物もできるだけ避けましょう。
- 【漢方薬】
- 血流を良くしたり、冷え症を改善する漢方がおすすめ
婦宝当帰膠 / 参茸補血丸 / 芎帰調血飲第一加減
- 【ツボ】
- 「関元」をカイロで温める
体を温める言動力を高めるツボで、おへそから指4本分下にあります。冷えによる生理痛には即効性がありますので、生理が始まったらこのツボをカイロで温めておくのがおススメです。
- 【お茶&食材】
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紅茶に「シナモン」と「しょうが」をプラス
冷えによる痛みを取るシナモンとしょうがを、紅茶に加えてスパイスティーに。パウダーやチューブ入りのものを使うと簡単です。シナモンスティックとスライスしたしょうがをつかうなら、牛乳や豆乳を加えて軽く煮立て、チャイ風にしても。
- 【生活アドバイス】
- 「しょうが&シナモン」入り足湯を
下腹部を温めるのに即効性があるのは足湯です。しょうがとシナモンを湯に入れると、温める作用が高まります。スパイスティーに使った紅茶の茶殻やしょうがのスライスとシナモンスティックを再利用してもよいでしょう。
記事監修
猪越 洋平(Yohei Ikoshi)
- ・鍼灸師
- ・按摩マッサージ指圧師
- ・国際中医専門員
- ・中医手技療法士
- ・医薬品登録販売者
- ・元NHK学園 漢方・経絡講座講師
宮下 洋輔(Yosuke Miyashita)
- ・薬剤師
生理痛対策の漢方薬
◆月経痛に用いる漢方
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 効能・効果
のぼせ症で、血色はよく、下眼ケンが充血し、頭痛、肩こり、めまいなどがあって冷えを伴い、左下腹部に充実した抵抗、圧痛を認めるものの次の諸症:
月経不順による諸種の障害、月経痛、月経困難、帯下、更年期障害、痔疾
◆ 貧血や疲労のための漢方
- 婦宝当帰膠B(ふほうとうきこう)
効能・効果
冷え症、貧血、生理不順、生理痛、腰痛、腹痛、肩こり、頭痛、めまい、のぼせ、耳鳴り
- 参茸補血丸(さんじょうほけつがん)
-
効能・効果
虚弱体質、肉体疲労、病後の体力低下、胃腸虚弱、食欲不振、血色不良、冷え症
- 瓊玉膏(けいぎょくこう)
効能・効果
食欲不振、肉体疲労、虚弱体質、病後の体力低下、胃腸虚弱、血色不良、冷え性、発育期
◆血の道証に用いる漢方
- 逍遙顆粒(しょうようかりゅう)
-
効能・効果
冷え症,虚弱体質,月経不順,月経困難,更年期障害,血の道症,不眠症,神経症
※ 血の道症とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のことです。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
-
効能・効果
体質虚弱な婦人で、肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状、ときに便秘傾向のある次の諸症:冷え性、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道証。
- 芎帰調血飲第一加減
(きゅうきちょうけついんだいいちかげん) -
効能・効果
血の道症、産後の体力低下、月経不順
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