東西薬局 > 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と漢方薬
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
特発性血小板減少性紫斑病(ITP : Idiopathic Thrombocytopenic Purpura) は、血小板膜蛋白に対する自己抗体が発生し、主に脾臓で血小板が壊され、様々な出血症状がおこる自己免疫疾患です。血小板を産生する巨核球の成熟障害や細胞傷害も確認され、血小板産生も抑制されていると考えられています。血小板を減少させる疾患や薬の服用などが考えられない場合に疑われます。日本には罹患者が約2万人おり、年間約3,000人の方が発症されています。20~40歳台の女性や60~80歳の男女に多い疾患です。
◎特発性血小板減少性紫斑病の原因
急性ITPの原因は主にウイルス感染や予防接種が考えられており、数週から数カ月で自然治癒する方が多いと言われています。慢性ITPは原因は不明で、数か月から年単位で徐々に発症し、いつ罹患したか特定できないことが多いです。
◎特発性血小板減少性紫斑病の症状
血小板は出血を止める働きがあるため、主に出血症状がおこります。
- ・全身に青あざ(点状,紫斑)ができやすい。
- ・月経が止まりにくくダラダラ長びく。
- ・月経過多(経血の色が淡く量が多い)。
- ・不正出血がありなかなか止まらない。
- ・鼻血が頻繁にでる。
- ・歯茎から出血しやすい。
- ・尿が赤っぽくなる(血尿)。
- ・便に血が混じる、黒い便がでる(血便)。
※ これらの症状はITPでなくても起こる症状で、症状だけでITPと判断することは出来ません。症状だけでITPを特定することは出来ません。
※ 通常では赤血球や白血球には異常が見られないですが、慢性的に出血の症状が続いてしまうと貧血を起こしてしまうことがあります。
漢方で考える特発性血小板減少性紫斑病
◎漢方では『脾不統血』と考える!!
漢方では、あざができやすいなど、血液が漏れ出るような出血があることを『脾不統血(ひふとうけつ)』と言います。これは五臓六腑の『脾(ひ)』の機能低下によって起こるとされます。
脾とは、主に食事によって摂取した飲食物を消化吸収し、気や血の元になる栄養を得る胃腸の働きを行っている場所ですが、「脾は統血をつかさどる」と言い、血液を統率し、制御する働きも行っています。何らかの原因で脾の機能が失調してしてまうと、食欲低下、消化不良、出血症状(あざ、月経過多、不正出血、鼻血、血尿、血便)などがおこります。
脾の機能失調は、特発性血小板減少性紫斑病など出血症状を起こす病気の一因として考えることができます。
◎漢方での治療は?
漢方では主に『芎帰膠艾湯(きゅうきょうがいとう)』などの止血の働きのある漢方薬をもちいます。
また脾を強化をすることで身体の栄養状態を整え、貧血にならないように気をつけます。これには『補中益気湯(ほちゅうえっきとう)』や『帰脾湯(きひとう)』など使われます。どちらの漢方薬も脾に元気を与える漢方薬です。
※ あざなど出血している場所が多い時や鼻血などの出血量が多い場合には、必ず医師の診察をお受けください。
記事監修
宮下 洋輔(Yosuke Miyashita)
- ・薬剤師
漢方薬一例
◆ 止血の働きのある漢方
- 芎帰膠艾湯(きゅうきょうがいとう)
- 効能・効果
体力中等度以下で、冷え症で、出血傾向があり胃腸障害のないものの次の諸症:
痔出血、貧血、月経異常・月経過多・不正出血、皮下出血
◆ 胃腸(脾)を強化する漢方
- 補中丸(ほちゅうがん)
-
効能・効果
虚弱体質、貧血症、夏やせ、胃弱、病中・病後の体力回復、痔疾、脱肛、胃腸機能が減退し、疲労倦怠感のあるもの又は頭痛、悪寒、発汗を伴うもの。
- 帰脾湯(きひとう)
効能・効果
体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪いものの次の諸症:
貧血、不眠症、神経症、精神不安
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