アトピー性皮膚炎と漢方

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白ロゴアトピー性皮膚炎とは?

日本皮膚科学会によるアトピー性皮膚炎(Atopic Dermatitis:AD) の定義、診断基準によれば、「増悪、寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」とされています。簡単に言えば、「アレルギー体質の人におこる痒みのある慢性湿疹」です。

アトピー素因とは、1)家族歴・既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちのいずれ、あるいは複数の疾患)、または 2)IgE抗体を産生し易い素因。つまり、アレルギー体質のことを差します。

白ロゴアトピーの要因

◎体質的要因と環境的要因

アトピー発症の要因は、体質的要因と環境的要因があります。

 

・体質的要因

1)アトピー素因

2)皮膚のバリア機能の低下

 

・環境的要因

1)アレルギーを起こす物質(アレルゲン)

2)衣類や化粧品などによる外部刺激

3)疲労、睡眠不足、ストレスなど

白ロゴ年齢別にみるアトピーの原因と症状

アトピーの原因と症状は、年齢によって変化が見られます。アトピー特有の症状は、体の左右対称に症状が発症する痒みのある湿疹です。赤みのある湿疹、プツプツと盛り上がる湿疹(丘疹)、ジクジクした湿疹、ゴワゴワした湿疹がよくみられ、掻くことによって皮膚が厚く硬くなったり、かさぶたができたりします。また乾燥した皮膚が剥がれ落ちる落屑が起ったりもします。湿疹ができやすい場所は、顔、耳や首回り、わきの下やひじの内・外側、ももの付け根、ひざの表・裏側などに多くみられます。

◎乳児期

乳児期は、胃腸の消化吸収が弱く、母乳やミルクを吐いたり、下痢や便秘をしやすい時期です。食物の消化力が弱いため、タンパク質がアミノ酸まで分解しきれないなど、分子量の大きな未消化物がアレルゲンとなっていると考えられます。また肌も弱く、免疫機能も整っていないことも原因と言えます。

つまり乳児のアトピーには、発達の未熟さがあると考えられます。アレルゲン

 

症状は、頭、顔にジクジクした紅斑や丘疹が現れます。頭や眉毛に、黄色いかさぶた様の湿疹ができることもあります。乳児湿疹や脂漏性湿疹との判別は、難しいため2か月以上症状が続く場合に、アトピーの可能性がでてきます。

 

身体機能の発達に伴い、アトピーになった乳児の1/3くらいは、1歳くらいで自然治癒します。

◎幼児~小児期

幼児~小児期は身体の機能が発達してきて、新たに発症することが少ない時期です。
発症する場合の原因は、主に食物やハウスダストなどのアレルゲンが多くなります。また乳児期同様、胃腸の弱いことが多いです。

 

症状は、全身が乾燥し、かさかさしてきます。ひじや膝の関節の内側に、ジクジクした発疹やあせもに似た発疹がみられるようになります。ゴワゴワした皮膚になることもあります。耳の下~首にもよくみられます。また飛びひや水いぼなど、細菌感染を起こしやすくなります。

 

◎青年~成人期

青年~成人期は、いままで全くアトピーの兆候が無くても発症します。この時期は乳幼児期と違い胃腸機能は健全なことが多いです。原因としては、受験や就職などによるストレス、疲労、食事の偏り、睡眠不足、過度な飲酒、喫煙、部屋の掃除が不十分など、生活習慣や生活環境の変化により、過度なアレルゲンに晒されたり、副腎の機能低下などが考えられます。

 

症状は、肌の乾燥やゴワゴワがひどくなります。特に上半身に症状が多くあらわれ、手足の外側にゴツゴツした発疹ができることもあります。顔の赤みがとれなくなったり、丘疹とびらんが混在することもあります。炎症が慢性化している場合、首などには色素沈着が起こります。単純ヘルペス感染や目の合併症などが起こりやすくなります。

 

白ロゴ漢方で考えるアトピー

◎漢方で重要なアトピー性皮膚炎の3つ要素

皮膚は内臓の鏡と言われています。ここでの内臓は、漢方理論で重要な五行学説で言うところの『脾(ひ)』、『肺(はい)』、『腎(じん)』にあたると考えられます。

◎肺は皮膚をつかさどる

肺漢方でアトピーを考えるにあたって、まず考えるのが肺です。
皮膚は呼吸しているため、漢方では呼吸機能を管理している肺の系統に属します。肺の機能には宣発(せんぱつ)、粛降(しゅくこう)という、清らかなものを全身に巡らし、老廃物や排泄物を体外に除外する働きがあります。大腸も排泄物を処理する場所ですから、肺に属します。
また、肺は体外からの空気などに触れる場所のため、ウイルスや花粉などの異物から、身体を守る場所でもあります。この防衛反応(バリア機能)がうまくいかないと、風邪をひいたり、花粉症などアレルギー疾患が起こります。また大腸の状態が悪いと排泄物が体外に出せないため、肺の働きが正常に行えず、肌荒れや咳などの症状が起こりやすくなります。

 

◎栄養を取り込み肺を養う脾

脾脾は、主に食事によって摂取した飲食物を消化吸収し、気や血の元になる栄養を得る胃腸の働きを行っている場所です。脾は肺を養っている場所でもあり、脾の状態が悪くなると、肺の機能にも支障をきたします。暴飲暴食やストレスなどで正常に消化吸収がされないと、下痢や便秘などをひきおこします。

 

◎免疫機能に重要な腎

腎漢方における腎は水分の調節や骨、骨髄、ホルモン分泌などに関わっています。腎の働きが充分でないと、水分バランスが損なわれ身体が乾燥したり、逆にむくみになったりします。また腎の機能低下は、骨髄での白血球などの免疫細胞の産生に異常を生じることがあり、アトピーや喘息などアレルギー疾患が慢性化したり、他のアレルギー疾患を発症することがあります。

 

白ロゴアトピーの漢方治療

漢方で行うアトピーの治療では、根本治療を行う体質改善の漢方薬とアレルギー症状を抑える対症療法の漢方薬を用いていきます。年齢や季節、生活環境によっても体質や症状は影響を受けるため、様々な因子をふまえて漢方薬も考えていきます。

◎乳児~小児期の漢方

乳児~小児期は、消化吸収が未発達、つまり脾の状態が整っていないため、肺の機能が整わない事が多いです。脾と肺を強くする漢方薬を用い、また湿疹や痒みの症状に対して、抗菌・抗炎症の漢方薬を用い、飛びひや水いぼなどの細菌感染も起こさないように注意していきます。

◎青年~成人期の漢方

青年~成人期は、様々な原因が複雑に絡み合うことで、肺のバリア機能、免疫機能が失調していると考えられます。これは肺と腎の機能失調、特に乾燥の症状が多く、治りにくいことから、肺腎陰虚(はいじんいんきょ)という状態にあると考えられます。漢方薬は肺と腎を強化するものを用い、季節による気候変化や生活環境を考慮した上で、炎症や乾燥、痒みなどの諸症状に対する漢方薬を用います。

◎漢方の外用薬

対症療法には、服用する漢方薬だけでなく、漢方の外用薬を用います。

紫雲膏(しうんこう)・・・乾燥している症状に。

太乙膏たいつこう)・・・浸出液が出ているときや痒みがひどいときに。

中黄膏(ちゅうおうこう)・・・化膿している症状に用いる。炎症が強いときにも。

 

 

白ロゴ記事監修

宮下洋輔

宮下 洋輔(Yosuke Miyashita)

  • ・薬剤師

皮膚に用いる漢方

アトピー関連商品

掲載の漢方薬は、医師・薬剤師・登録販売者など専門家とご相談後、体質・症状に合わせて、ご使用下さい。

◆ 湿疹、肌荒れ、痒みのための漢方

清営顆粒(せいえいかりゅう)
清営顆粒
効能・効果
便秘。便秘に伴う次の症状の緩和:頭重、のぼせ、肌あれ、吹出物、食欲不振、腹部膨満、腸内異常醗酵、痔
温清飲(うんせいいん)
効能・効果
患部が乾燥して赤味を帯び,熱感があり,そう痒がひどく, かくと粉がこぼれるような皮膚病,じんま疹,皮膚そう痒症
柴胡清肝散(さいこせいかんさん)
効能・効果
体力中等度で,疳の強い傾向(神経過敏)にあるものの次の諸症:神経症,慢性扁桃炎,湿疹・皮膚炎,虚弱児の体質改善
消風散(しょうふうさん)
効能・効果
体力中等度以上の人の皮膚疾患で,かゆみが強くて分泌物が多く,ときに局所の熱感があるものの次の諸症:湿疹・皮膚炎,じんましん,水虫,あせも
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
効能・効果
体力中等度なものの皮膚疾患で,発赤があり,ときに化膿するものの次の諸症:化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期,じんましん,湿疹・皮膚炎,水虫
八仙丸(はっせんがん)
八仙丸
効能・効果
体力中等度以下で、疲れやすく胃腸障害がなく、ときにせき、口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ、息切れ、からぜき

◆ 漢方の外用薬

紫雲膏(しうんこう)
紫雲膏
効能・効果
ひび、あかぎれ、しもやけ、魚の目、あせも、ただれ、外傷、火傷、痔核による疼痛、肛門裂傷、湿疹・皮膚炎
神仙太乙膏(しんせんたいつこう)
タイツコウ,神仙太乙膏
効能・効果
切り傷,かゆみ,虫刺され,軽いとこずれ,やけど
ベルクミン軟膏
(中黄膏:ちゅうおうこう)
ベルクミン,中黄膏
効能・効果
火傷、外傷、きれ痔(さけ痔)・いぼ痔の痛み・かゆみ・はれ・出血・ただれの緩和、おでき、湿疹、かぶれ、ただれ、あせも、かゆみ、ひび、しもやけ、あかぎれ

◆ 胃腸を整える漢方

瓊玉膏(けいぎょくこう)
瓊玉膏
効能・効果
食欲不振、肉体疲労、虚弱体質、病後の体力低下、胃腸虚弱、血色不良、冷え性、発育期
補中丸(ほちゅうがん)
補中丸
効能・効果
虚弱体質、貧血症、夏やせ、胃弱、病中・病後の体力回復、痔疾、脱肛、胃腸機能が減退し、疲労倦怠感のあるもの又は頭痛、悪寒、発汗を伴うもの。
健脾散エキス顆粒
(けんぴさんえきすかりゅう)
健脾散
効能・効果
食欲不振、慢性下痢、病後の体力低下、疲労倦怠、消化不良、慢性胃腸炎
健胃顆粒(けんいかりゅう)
健胃顆粒
効能・効果
胃炎、胃腸虚弱、胃痛、腹痛、食欲不振、胃部不快感、腹部膨満感、悪心、下痢
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
効能・効果
体力虚弱で、疲労しやすく腹痛があり,血色がすぐれず,ときに動悸,手足のほてり,冷え,ねあせ,鼻血,頻尿及び多尿などを伴うものの次の諸症:小児虚弱体質,疲労倦怠,慢性胃腸炎,腹痛,神経質,小児夜尿症,夜なき

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