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ケース3 拒食症・過食症
拒食症・過食症
ダイエットを契機に拒食症になり、その後、過食嘔吐に転じました。
どうしたらやめられるでしょうか。
摂食障害は先進国に多い文明病の一つです。我が国でもここ20年程の間に急増。この病気は圧倒的に若い女性に多いのが特徴ですが、最近では若い男性にもちらほら現れはじめています。
治療の決め手がないために、いったん発病すると10年、20年と苦しむケースが少なくありません。
ダイエットで美しくやせたいという強い願望がきっかけですが、ベースには人間関係によるストレスがあります。多くは家族間の葛藤ですが、特に多いのは母親との間に問題があるケースです。
現代は子どもの数が少なく、非常に過保護に育てられています。精神的にもろい子供が、神経質な親との関係に行き詰まり、摂食障害になるケースが多いようです。
通常の食事はとらず、1日リンゴ一個、あるいは牛乳一杯だけという無茶なダイエットを続けて、しばらくすると、そのリバウンドで過食に転じてしまうのです。
でも、太りたくないために過食した後、吐きますが、後悔で気分が激しく落ち込みます。しだいにノーマルな食事ができなくなり、罪悪感に悩みながらもやめられないのです。胃酸によって歯がボロボロになったり、手に吐きダコができるなどの二次的な障害も現れ、アルコール依存症に転じるケースもあります。
この病気は主として、精神科が扱いますが、カウンセリングを受けたくても患者が多くて医療者側が対応しきれないのが現状です。
中国医学では過食症、拒食症もストレスによる肝臓の機能の衰弱と考えます。
拒食症が進んで、非常に衰弱している場合は、十全大補湯や婦宝当帰膠Bなどの補血剤で栄養をつけることがまず必要です。
この病気はストレスに弱いというのが最大の要因ですから、逍遙散や抑肝散を長期に連用して肝臓を強め、ストレス耐性を徐々にアップしていきます。
拒食症や過食嘔吐を続けていると、生理が止まってしまうこともあります。しかし、この場合、ホルモン剤を使用するのはよくありません。ダイエットで栄養状態が悪化しているところに生理を無理やり起こさせるのはさらに衰弱を進めることになります。一般に若い人の無月経は、1,2年ゆっくり時間をかけて補血していくことで治ります。栄養状態が改善して体力がついてくれば自然に生理は始まります。
摂食異常を修正しようとあせると、逆効果になります。
カウンセラーなどにじっくり話を聞いてもらううちに徐々に安定してくることが多いのです。
生きる基本は食べることだという認識がまず大切です。生活を規則正しくして、普通に食べられなくても食事時間にはテーブルにつくことから始めます。また、自立していくにつれ、治ってくることもあります。
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記事監修
猪越 恭也(Yasunari Ikoshi)
- ・薬剤師
- ・東京薬科大学附属
社会医療研究所 教授 - ・長春中医薬大学
客員教授 - ・日本中医学会理事
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