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ケース8 アルコール依存症
アルコール依存症
一人暮らしになってお酒を覚えました。最近では一人で飲むことが多く、このままではアル中になりそうです。
近年、成人男子の飲酒量は横ばいですが、女性や若い人の飲酒は急激に増えてきています。ライトなアルコールが増え、TVからはしゃれた洋酒のCMが流れ、そのマイナス面にはなかなか目が向きません。
しかし、アルコールには大きな落とし穴があります。女性の飲酒が恐ろしいのは、男性の倍のスピードで肝臓障害を起こし、依存症になることです。また、男性の依存症に比べて、家庭崩壊までいくケースが実に多いのです。
アルコールは少量なら気分を発揚させ、リラックス効果が得られますが、量が増えると酩酊状態になり、その心地よさから習慣性になりやすいのです。
日本人は一般にアルコールに弱く、欧米人に比べるとまだ依存症は少ないものの、女性のアルコール依存症は増加の一途をたどっています。
アルコール依存症になる原因はアルコールを飲むことです。逃避するような飲み方をするのが一番問題です。
中国医学的に見ると、お酒は火と水という相矛盾する二つの物質が結合したものです。 つまり、アルコールの体を温める作用は火にたとえられ、一方水分は体を冷やします。このため、水ならとても飲めない量が飲めるのです。そして、その両者が過剰になると頭が重い、吐き気がする、食欲がないという症状が起こり、火、すなわち熱が過剰になると口がかわく、のぼせる、目が充血するというような症状が起こりこれらが結合します。 急性アルコール中毒の場合に起こる二日酔いがその典型です。依存症までいくと、ほとんどものを食べなくなり、習慣性から脱却するのが難しくなります。
アルコール依存症は、本人が自覚してアルコールをやめない限り、薬だけで治そうとするのは無理です。
アルコールが嫌いになる薬もあることはありますが、副作用が強く、おすすめできません。急性の場合には利尿と解毒を促進し、早く排泄してしまうことです。消化器官に水分が過剰にたまると吐き気を起こします。
過剰な水を早く尿にして出すには、「五苓散」。体の熱を冷まし、解毒する為には「黄連解毒湯」が効果的ですから、この二つを一緒に用います。
女性は男性よりアルコールに弱く、女性ホルモンは本来アルコールとは相いれない性質があります。それでもアルコール依存症になるのは日常生活にストレスがひそんでいるためです。ストレスは肝臓の負担になるので肝を強化する逍遙散や抑肝散を長期に用います。
仲間と飲む分には度を過ごしません。禁酒が無理なら外で友人と飲むように。
飲む前にはある程度食べておきます。飲んでいるときもおつまみを口にしてください。そして週に二日は休肝日を設けます。
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記事監修
猪越 恭也(Yasunari Ikoshi)
- ・薬剤師
- ・東京薬科大学附属
社会医療研究所 教授 - ・長春中医薬大学
客員教授 - ・日本中医学会理事
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