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ケース7 不安神経症
不安神経症
電車の中で気分が悪くなり意識を失いかけたことがあります。それ以来一人で電車に乗れなくなってしまいました。
人間の精神と肉体は不可分ですから、こういうことは不思議でもなんでもありません。ただし、肉体的に強健な人には少なく、弱い人がなりやすい傾向があります。
ですから、肉体を強化すればこのようなことはあまり起こりません。
多くの場合、心・肝・腎・消化器系統(中医学では脾という)に問題があるものです。不安神経症の人の体を調べると、必ずこれらの臓器のいずれかに問題があります。中でも肝や腎に問題がある人が多く、それに次いで消化器系が弱い人もいます。
一人で電車にのれない、またはある特定の場所に行くと心臓がドキドキして苦しくなる。夜眠れないなど、人によってさまざまな問題をかかえています。一度苦しい経験をすると、同じ状況下ではまた苦しい経験をするのではないかという不安が強くなり、自分の行動を規制してしまうのです。こういうことは多かれ少なかれ誰にでもありますが、日常生活が困難になると治療を要します。
不安神経症ではカウンセリングで話を聞いてもらうだけでも解決することがあります。
不安感は自分で理由がわからなくても必ず何か原因があるはずです。それを見つけだし、納得できれば安心します。理由が分からず不安感がつのるという状況は事態を悪化させるだけです。
カウンセリングの重要性は自分でわからない原因をみつけ出して解決しようとすることなのです。
興奮しやすく、疲れるのに眠れないという人には酸棗仁湯を用います。逍遙散、抑肝散、半夏厚朴湯などといっしょに用いることもあります。動悸がして眠れない、口が乾いて手足がほてるという人には天王補心丹を用います。これは健忘症があったり、精神が高ぶっている時にも用います。食欲不振で太れない、手足が抜けるようにだるい、そして小さなことが気になって眠れないという状況は大脳の働き(心)と、消化器系統(脾)の機能低下が結合したもので、これには帰脾湯を用います。
肝が丈夫であるという事はストレスにきわめて強いということです。肝が丈夫なら脳は肝から良質な血液を豊富に供給され、じっくりとものごとを考えられるからです。
現代社会ではストレスに弱い人は大きなハンディとなりますから、逍遙散などを用いてじっくり肝を強化する治療をしていくことをおすすめします。
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記事監修
猪越 恭也(Yasunari Ikoshi)
- ・薬剤師
- ・東京薬科大学附属
社会医療研究所 教授 - ・長春中医薬大学
客員教授 - ・日本中医学会理事
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