ケース10 腎臓病

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ケース10腎臓病

尿検査を受けたら尿にたんぱくが少し出ているといわれました。定期的に診察を受けるようにといわれましたが・・・。

原因

たんぱく尿が出ただけではまだ何ともいえませんが、腎臓の機能が低下していることが疑われます。
体質的なものや食生活にも関係あるかもしれません。これ以上腎の機能を低下させないように注意が必要です。
腎臓は尿を作る臓器です。体内をめぐってきた血液にはさまざまな老廃物が含まれています。
腎臓にはこれらを濾過する糸球体という組織があり、左右二つの腎臓にこれが100万個ずつついています。この糸球体は毛細血管のかたまりで、血液中の老廃物を濾過し、次の尿細管が水分の99パーセントを再吸収して残りが尿になります。
腎臓病は、糸球体の組織が破壊される病気ですから、濾過がうまくいかず、その結果たんぱくなど体に必要な物質も老廃物と一緒に尿に出てしまうのです。ただ、たんぱく尿が出ていても、必ずしも糸球体が障害されているとは限りません。高血圧や糖尿病など、動脈硬化を早める病気がある場合も、腎臓病になる確率は高くなります。
腎臓病は炎症性の腎炎と糸球体の組織が変性するネフローゼに分けられます。

症状

慢性の腎臓病は、ほとんど自覚症状がないことが多く、このため尿にたんぱくが出た人は定期的に診察を受けて、観察を続けなければなりません。

治療

腎臓は、長い時間の経過で悪化していくことが多いので、早期に気がつけば、腎の働きを強める補腎と、同時に動脈硬化を改善していくことで進行をくいとめることができます。
たんぱく尿は内臓下垂による遊走腎の場合にも見られます。
補腎薬の選び方としては、冷えがなく、ほてるようなタイプには「六味地黄丸」を、血尿や排尿痛がある人は猪苓湯を。むくみがあるときは「五苓散」か「四苓散」を用います。冷えるタイプには、「金匱腎気丸」を用いるといいでしょう。腎臓病になると静脈の固まりである糸球体に動脈硬化が起こっている可能性が高いので、これには瘀血を除く「冠元顆粒」を用いて腎の血行改善をはかります。内臓下垂である遊走腎には「補中益気湯」を用います。腎臓病を予防するためには、食養生も重要です。
従来、腎臓病にはたんぱく質はできるだけとるなといわれてきました。たんぱく質を多くとると体の中に有害な物質が増えて腎臓の負担が大きくなります。しかし、たんぱく質の摂取が少なすぎると栄養のバランスがくずれて体力が衰え自然治癒力が低下します。病気は薬で治すわけでなく、自分自身で治すものですから食事のバランスは重要です。

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女性のヘルス・トラブル100 症例と東洋医学による日常ケアブック
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  • 第1章 女性を悩ますトラブル
  • 第2章 アレルギー体質
  • 第3章 皮膚のトラブル
  • 第4章 日常のトラブル
  • 第5章 ストレス疾患
  • 第6章 おなかの具合が悪い
  • 第7章 内臓疾患

白ロゴ記事監修

猪越恭也

猪越 恭也(Yasunari Ikoshi)

  • ・薬剤師
  • ・東京薬科大学附属
      社会医療研究所 教授
  • ・長春中医薬大学
      客員教授
  • ・日本中医学会理事

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