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ケース15 肥満
肥満
これまで何回かダイエットに挑戦しました。その都度体重は減りますが、すぐに元に戻ってしまします。
長く海外で生活した人が帰国すると日本女性の身長が高くなり、スタイルも見違えるほどよくなったといいます。女性雑誌はやせる特集を組んだり、スリムな人にしか似合わないファッションが流行したりで、太目の女性の肩身は狭くなりつつあります。しかし、多少太っていてもその人にとって一番体調がよければそれがベスト体重です。肥満は不健康ですが、やせすぎも同じく不健康です。
肥満にはさまざまな要因があり、いくつかが重なっている場合が多いものです。
まず遺伝ですが、体形は親に似ます。しかし、兄弟姉妹でも太っている人といない人に分かれますし、赤ちゃんの頃里親に預けられると体脂肪の大きさは里親に似るといわれます。肥満は遺伝より生活習慣の影響を受け継ぐことが大きいといえます。
基礎代謝(何も運動しなくても体温や内臓の動きなどで消費するカロリー)の大きい人とそうでない人とでも脂肪のつき方が違います。一般には若い頃は基礎代謝が高く、年とともに低下していきます。精神的なイライラが過食につながるケースもあれば、内臓に問題があって異常に食欲が亢進する場合もあります。
一律にカロリーをセーブして体重を落としても無理なことをすれば必ずリパウンドがきます。また、肥満、減量を繰り返すとしだいに太りやすく、やせにくい体になることも覚えておいてください。中国医学では肥満を実証型と虚証型に分けて考えます。実証の肥満はガッチリタイプで食欲旺盛、熱っぽく、口が渇き、大量の水を欲しがります。顔は充血して血圧は高め、イライラしやすいのですが、疲労倦怠感はあまりありません。食欲が亢進して食べずにはいられないのは胃熱があるためで、胃が興奮した状態です。体内の過剰な熱を冷ますには黄連解毒湯(おうれんげどくとう)か竜胆瀉肝湯を用います。便秘がちで食欲が異常亢進する人は三黄瀉心湯、防風通聖散、大柴胡湯などを用いて食欲を鎮静させます。このタイプは疲れが少ないので大いに体を動かします。虚証の肥満には意外にも胃の弱い人が多いのです。中国では「肥人に脾虚多し」ということばがあります。脾虚というのは胃の虚弱のことで、このタイプは甘いものを欲しがります。糖分が多いとたんぱ〈摂取量が減り、バランスがくずれて太ります。筋肉の力は弱く、ブヨブヨ型で、女性によく見られます。体に水分がたまりやすく、汗っかきで、肥満というよりむくみに近いものです。こういう人には防巳黄耆湯(ぼういおうぎとう)や香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などを用いて胃腸を強め、過剰な水分を除去して筋肉を引き締めていきます。
肥満は生活習慣によって作られます。毎日の体重をグラフにつけ、同時に運動量や食べたものを全て記録をとってみましょう。あなたの問題点がはっきりしてきます。
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