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ケース14 静脈瘤
静脈瘤
ふくらはぎの後ろに静脈瘤が目立つようになり、スカートがはけなくなりました。手術せずに治したいのですが。
静脈瘤は出産を何度も経験した女性によく見られる疾患です。足の裏側を通る静脈が青く浮き出て、ひどくなるとボコホコと癌がいくつも重なったようにふくれてきます。スカートがはけなくなるという美容上の問題もさることながら、ひどくなると神経を刺激して痛みも出てきます。
出産経験の多い女性に起こりゃすいのは瘀血を生成しやすいためです。瘀血の状態では血液が濃く、粘りやすくなり、流れが悪くなります。瘀血があると静脈瘤だけでなく、全身に影響を及ぼします。例えば、生理痛や子宮筋腫など女性特有の疾患や痔にもなりやすくなるのです。また、静脈には逆流しないよう随所に弁がありますが、これが効かなくなっていることもあります。
普通の静脈瘤は青く盛り上がっていますが、長時間立ち仕事をしているとふくらはぎが熱っぽくなり、静脈は青黒く太くふくれてところどころが盛り上がり、その周辺の皮膚も黒褐色になることがあります。貧血傾向を伴うこともあり、その場合は皮脂がかさかさしてひび割れたり、顔色が悪くなったり、集中力が低下したりします。
静脈瘤も初期は痛みがありませんが、ひどくなってくると痛みを感じます。また、血行不良のために足の冷えが強くなることもあります。
現代医学では静脈瘤の治療はその部分の血管を外科的に切除して人工血管を入れることも行われます。しかし、血液がドロドロであればまた詰まってしまい、根本的な解決にはなりません。中国医学では静脈瘤の治療は瘀血の除去が中心になります。また、下肢は腎が支配するところですから、補腎も同時に行っていきます。瘀血の除去には冠元顆粒が有効です。補腎では冷え込む人は八味丸や海馬補腎丸を。ほてるタイプには六味丸系統の薬を。また、関節痛があれば舒筋丸をそれぞれ併用します。静脈瘤は年とともにひどくなる傾向がありますから、薬は長期にわたって持薬的に用います。しかも、早めの治療が大切です。
サポート力の強いストッキングを着用すると浮きでた静脈が多少押さえられます。
なお、薬局には弾力性に富んだ医療用のエラスティックサポーターが売られています。しかし、これも長時間の着用はよくありません。また、静脈瘤で疲れやすいからと動かずにいると、ふくらはぎの筋肉は衰え、静脈の怒張をいっそう促すことになります。足の運動でふくらはぎの筋肉を鍛えると血管を引き締める効果も出てきます。ただし、この場合ウォーキング程度の運動で十分ですから、毎日続けることが大切です。寝る前に両足をマッサージすると疲れもとれ、血流がよくなります。
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